語り部:淘翁

知己知彼,百战不殆 [zhī jǐ zhī bǐ , bǎi zhàn bù dài]
彼(かれ)を知り己を知れば百戦して殆(あや)うからず

『孫子』謀攻篇の中に出てくる有名な言葉じゃな。シンプルな金言じゃが、シンプルゆえに応用範囲はどこまでも広い。ビジネスやスポーツ、あるいは恋愛にすら応用できる極めて実践的な金言じゃ。暗唱できるようにしておくといざと言うときに役に立ってくれるかも知れんよ。ただ、「相手を知る」ことや「自分を知る」ことはそう簡単ではないぞ。そんなことが簡単にできれば誰も彼もが負け知らずの成功者になってしまう道理じゃ。フォッフォッフォ、そう甘くはない。じゃが、そう甘くはないとわかった上で絶えず「相手を知る」ことや「自分を知る」ことに努めるということが認識のレベルを上げていくことになるじゃろう。

それほど難しい言葉はないと思うが念のためにちょっとだけ言葉の解説をしておこうかの。
「彼」は英語で言うheの意味ではなく、向こうにあるものを表す言葉じゃ。ここでは敵、相手のことじゃな。「此(これ)」に対して「彼(かれ)」じゃ。
「不」は次の「殆」が第四声じゃから実際に読む際には第二声となる。
「殆」は危うい。昔の文章にはよく出てくるので覚えておくと便利じゃよ。もう少しでよくないことが起こりそうな様を表す。

ちなみに『孫子』は『老子(老子道徳教)』と通ずるところが多い。『老子』の影響を受けていることはほぼ間違いないじゃろうな。原文の文体もやや似ている印象じゃ。『老子』で重視されておる「谷」「水」などは『孫子』でも好まれている比喩じゃし、「戦わずして勝つ」ことを最上とする考えも『老子』に似ておる。『老子』はわしの愛読する書でな、中国の経典の中でも最高のものの一つじゃ。興味のある人は下の記事も読んでみるとよい。一番上のリンクの記事はわしが書いておる。

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