中国の誇る四書五経の筆頭経典である易経は我が国にも多大な影響を与え続けてきました。身近なところで例を挙げれば、実は「明治」「大正」をはじめとした日本の多くの元号は易経の箴言に由来しているのです。日本の元号のうち、易経に由来するものを全てリストアップし、一覧にしてみました。出典の具体的箇所も特定しています。

飛鳥 大宝(たいほう) 701年~704年 繋辞下伝 天地之大徳曰生、聖人之大宝曰位。 天地の大徳を生と日(い)い、聖人の大宝を位と日う。
平安時代 貞観(じょうがん) 859年~877年 繋辞下伝 天地之道、貞観者也。 天地の道は貞にして観(しめ)す者なり。
天徳(てんとく) 957年~961年 乾卦・文言伝 飛龍在天、乃位乎天德。 飛龍天に在り、すなわち天徳に位するなり。
承徳(じょうとく) 1097年~1098年 蠱卦・六五(象) 幹父用誉承以徳也。 父の蠱(やぶれ)を幹(ただ)し、以って誉れありとは、承くるに徳をもってすればなり。
鎌倉時代 貞応(じょうおう) 1222年~1223年 中孚卦・彖 中孚以利貞、乃應乎天也。 中孚(ちゅうふ)にしてもって貞(ただ)しきに利(よ)ろしとは、すなわち天に応ずるなり。
元仁(げんにん) 1224年 『易経(周易)』についての注釈書が出典と思われます 元亨利貞。正義曰、元仁也。 元いに亨りて貞しきに利ろし。正義日く、元は仁なりと。
安貞(あんてい) 1227年~1228年 坤卦・彖 乃終有慶、安貞之吉、応地无疆。 すなわち終わりに慶(よろこ)び有るなり。貞に安んずるの吉は、地の疆(かぎ)りなきに応ずるなり。
貞永(じょうえい) 1232年 坤卦・用六 用六、利永貞。 用六、永く貞しきに利(よ)ろし。
乾元(けんげん) 1302年 乾卦・彖 大哉乾元、万物資始、乃統天。 大いなるかな乾元、万物資(と)りて始む、すなわち天を結ぶ。
元亨(げんこう、げんきょう) 1321年~1323年 大有卦・彖 其徳剛健而文明、応乎天時而行、是以元亨。 その徳剛健にして文明、天に応じて時に行う。ここに以って元いに亨(とお)るなり。
正中(しょうちゅう 1324年~1325年 乾卦・文言伝 見竜在田、利見大人、何謂也。子曰、竜徳而正中者也 見竜田に在り、大人を見るに利ろしとは何の謂いぞや。子曰く、竜徳ありて正中なる者なり。
元徳(元德、げんとく) 1329年~1330年 『易経』乾卦/
『周易正義』
乾、元亨利貞。/元者善之長、謂天之元徳、始生万物。 乾は、元いに亨りて貞しきに利ろし/元は善の長なり。天の元徳を謂い、万物の始生なり。
南北朝時代(北朝方) 貞治(じょうじ) 1362年~1367年 巽卦・初六(象) 利武人之貞、志治也。 武人の貞(てい)に利(よ)ろしとは、志治まるなり。
南北朝時代 嘉吉(かきつ) 1441年~1444年 随卦・九五(象) 孚于嘉吉、位正中也。 嘉に孚あり、吉なりとは位正中なればなり
戦国時代 文明(ぶんめい) 1469年~1486年 同人卦・彖 文明以健、中正而応、君子正也。 文明にもってして健、中性にして応ず、君子の正なり。
明応(めいおう) 1492年~1501年 大有卦・彖 其徳剛健而文明、応乎天而時行 その徳剛健にして文明、天に応じて時に行う。
享禄(きょうろく) 1528年~1531年 大畜卦(『周易程朱傳義折衷』) 居天位享天禄。 天位に居て天禄を享く。
天文(てんぶん、てんもん) 1532年~1555年 繋辞上伝 仰以観於天文、俯以察於地理。 仰いで以て天文を観、俯して以て地理を察す
江戸時代 慶安(けいあん) 1648年~1651年 坤卦 乃終有慶、安貞之吉、応地無疆。 乃ち終りに慶び有るなり。貞に安んずるの吉は、地の疆(かぎ)り無きに応ずるなり
貞享(じょうきょう) 1684年~1687年 益卦・六二 永貞吉、王用享于帝、吉。 永貞なれば吉なり。王もって帝に享す。吉なり。
文化(ぶんか 1804年~1818年 賁卦・彖 観于天文、以察時変、観乎人文、以化成天下。 天文を観て以って時変を察し、人文を観て以って天下を化成す。
元治(げんじ) 1864年~1865年 乾卦・文言伝 乾元用九、天下治也。 乾元の用九は、天下治むるなり。
明治時代 明治(めいじ) 1868年~1912年 説卦伝 聖人南面而聴天下、嚮明而治。 聖人南面して天下を聴き、明に嚮(むか)ひて治む。
近現代 大正(たいしょう) 1912年~1926年 臨卦・彖 大亨以正、天之道也。 大いに亨(とお)りて以て正しきは、天の道なり。

Written by 岡安草莱

易経から学ぶ叡智!多難な物事の始めを乗り切る「屯の卦」

現代の中国人は『易経』をこう読む!清華大学校訓となった易経の文言「自強不息、厚徳載物」とは?

 「君子豹変」の本当の意味が深い!出典『易経』革の卦の原文を読んでみよう!