本日は『易経』繋辞伝の中の名言を取り上げます。語呂が良く、暗記に適した名言であると同時に、現代の我々にとっても非常に励みになる言葉です。ピンインも付けています。

穷则变,变则通,通则久 qióng zé biàn,biàn zé tōng,tōng zé jiŭ
窮まれば則ち変じ、変ずれば則ち通じ、通じれば則ち久し

ものごとが行き詰まって窮すれば必ず新しく変化が生じ、それが通じてその新しい状態が長く続く、という意味です。マイナスが極まればプラスに反転するという万物の変化法則を述べています。

これは、古代中国人が経験的にたどり着いた叡智であり、現代の我々にとっても有益な言葉でしょう。現代では心に病を抱える人も少なくありませんし、仕事や恋愛をはじめ何をしてもうまくいかなくなるという状況に陥ることも珍しくありません。私の見る限り、特に日本人にはそのような状況に陥った際に必要以上に不安になり、精神的に追い詰められてしまう人が多くいる気がします。

しかし、多くの中国人は窮地に陥っても焦りません。何かに行き詰まり、精神的に追い詰められたとしても、行くところまで行き着けばそれ以上は悪くならない。その状態は長く続かないということを知っているのです。中国人の多くはこの道理を生得的な智慧として持っている印象を受けますが、彼らの強さと明るさの秘密は意外にこのあたりにあるのかも知れません。

さて、この言葉の他にも中国語では同様の道理を表すのに「物极必反(wù jí bì fǎn)」という言葉もよく使います。これは物事が極端に発展すると必ず反転を始めるという意味です。マイナスが極まってプラスになるのと同様、プラスが極まった場合はマイナスに反転するという意味も包括しています。つまり、我々は「プラスが極まったとき」には大いに警戒すべきということになります。事業家でも芸能人でも政治家(某都知事を含め)でも、高く昇りつめた結果、驕りや油断が生じて転落するという例は過去から現在に至るまで枚挙に暇がありません。これを易経の乾の卦では「亢龙有悔(kàng lóng yŏu huǐ)–亢竜悔い有り」という文言でも言い表しています。高く上り詰めた龍は謙虚さを失えば必ず転落するという意味です。

Written by 岡安草莱

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