本サイトでは中国の叡智の結晶であり四書五経の筆頭である『易経』の文言をピンイン付中国語で紹介しています。今回は人の「言葉」から未来を察知するのに資する文言を紹介しましょう。

乱之所生也,则言语以为阶

luàn zhī suŏ shēng yĕ, zé yán yǐ wéi jiē

乱の生じるところは、則ち言語を以って階を為す
(禍乱が発生する場合、まずそれが言語として現れる)

繋辞伝(上)に見られる言葉です。物事の乱れが発生する場合にはその初期症状が言葉に現れる。つまり兆候として言葉に何らかの変化が現れたり、言葉が乱れたりすると易は説いています。国家から会社、家族、友人関係、そして特定の個人や自分自身に至るまで、実地に当てはめて考えればまさに説きえて至れりといった感じの格言です。

不祥事の疑惑が持ち上がった政治家を頭に思い浮かべてみてください(枚挙に暇がないと思いますが)。

言葉が極めて重要であり、人の品位や運命と密接な関係にあるというのが易の言語哲学ですが、それに則ればその人が本当に「君子」つまり立派な人物であれば、言葉は乱れず、その行為もぶれないわけです。反対に言葉が乱れ、行為も乱れるまでに至った人物は君子ではない「小人」です。あなたの頭に浮かべた人物はそのどちらでしょうか。また、その人物はその後どうなったか(あるいはこれからどうなるか)にも思いを馳せてみましょう。

人の品位と言語が相関関係にある以上、言語を修め、行動を律することが重要であるということにもなりますが、実際に乾の卦の文言伝にそのような道理を示す言葉も出てきます。近年、企業においてはバーバル・ストラテジー、個人においてはアファメーションという言葉を用いた方法で意識を変革したりコントロールすることの有効性が確認されてきていますが、実は何千年も昔から易経はその重要性を強調していたというわけです。

修辞立其诚

xiū cí lì qí chéng

言葉を修めその誠を立つる
(言葉をととのえてその誠を定める)